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正直言うと俺はこのアルバムからルー・リードの作品をそれまでほどには聴きこまなくなった。
あっ、『アニマル・セレナーデ』は凄く聴いたな。
でも、アレはライヴだしね。
オリジナル・スタジオ作だとコレの1つ前の『セット・ザ・トワイライト・リーリング』が夢中になった最後のアルバムかもしれない。

作品のクオリティーの問題ではない。
この『エクスタシー』も、この後の『レイヴン』も結果的に遺作となったメタリカとの『ルル』も素晴らしい内容だとは思う。
ただ、その3つすべてに言えることが収録時間の長さ。
その圧倒的なヴォリュームに気力も体力もついていけなくなった。
そういうことだと思う。
『エクスタシー』には「ライク・ア・ポサム」という18分を超える曲があって俺なんか全然集中力が続かなくてお手上げだし・・・。

『エクスタシー』はファンの間で(「ライク・ア・ポサム」も含めて)評価が高いみたいだね。
曲の多彩さとそれを散漫に感じさせない2本のギターをはじめとする音響の見事さ。
”集大成”という意見をよく目にするけどそれは俺もわかる。

キレのいいロックンロール「パラノイア・キー・オブ・E」、サビの後のベースのフレーズにニヤリとする「ミスティック・チャイルド」、やたら音が気持ちいいタイトル曲、リズムと歌の乗せ方がたまらなくルー・リードな「モダン・ダンス」、情緒溢れる「バトンルージュ」
どれも凄くいい。

でも、だからこそ、このアルバムが40~50分ぐらいだったら・・・と考えてしまう。







♪海原を月明りが照らす夜、俺は農家に生まれた
薪を割るみたいに家族は壊れ
俺はハンドルの欠片か肉の塊のように売られた
まだ息はある
くそっ

強くてデカくて若いから俺は売れた
物が持てたからな
大木でも鋼鉄でもお手のもの
俺のデブの親方にはそれが出来ない

ヤツの奥方が俺を見る仕草をいつも見てる
俺のモノは親方の二倍はある
強くてデカくて白くなければ今頃は茂みの中

世界中の非色系男女よ、立ち上がる時だぜ
ナイフ一突きで親方をやれ
セックスの最中にやれ、会話の最中にやれ
やれる時にやれ

俺は自分が働いてる土地の持ち主ではない
俺たちの苗字はみな同じ
この父親は居なくなるべきだ

俺の拳骨はヤツを潰せる♪


たぶん、このアルバムで一番好きなのはこの曲。
タフでハードな曲調、ルーならではのどぎつい言葉の並ぶ歌詞。
嬉しくなっちゃうぐらいルー・リード。


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このアルバムを伴った来日公演も凄かったっけ。
確か『ニューヨーク』か『マジック&ロス』の時に「俺にはもう2時間のショーをやる体力はない」とか言ってたのに軽く2時間超え。
セットリストの半分以上が『エクスタシー』の曲。
残り半分の旧曲もよくわからない地味なセレクトだった。
「ワイルドサイド」やらないし。
圧倒的に現役だった。
黒のレザーベストにレザーパンツ姿。
この時、ルーは58歳。

そういえばスライダーズの解散ライヴを4日後に控えたハリーが観に来てたな、この日。
俺の斜め後ろ辺りの席。
スライダーズも復活したし、俺も”隠居”とかしみったれたことばかり言ってる場合じゃないか。
もう少しだけハジけていきたい。







ここまでは出来ないけど・・・(笑)
ルー・リードは奥が深い。