MATTHEW SWEETと言えば、『TOMORROW’S DAUGHTER』を8ヶ月遅れで気づいて慌てて検索してたら見つけたのがコレ。
昨年11月23日、RECORD STORE DAY(BLACK FRIDAY)の限定商品として1500枚限定でアナログ(マーブル・ヴァイナル仕様)のみリリースされた『WICKED SYSTEM OF THINGS』
焦ったよ、物凄く。気づいたの年明けだったし。
赤黒の商品詳細情報によると、2017年1月にチープトリックと共演した際、マシューの曲をリック・ニールセン&トム・ピーターソンと録ろうという案が出て、一週間で曲を用意したものの、スケジュールの都合で実現せず、盟友リック・メンク(ヴェルヴェット・クラッシュ)、マシューの近作に参加してるジェイソン・ヴィクターとのトリオ編成であっという間に仕上げたというのがこの作品。
ローティーンの頃にチープトリックが好きで大きくなって(ダサいと思って)それを封印して、マシューが大好きになってチープと再会して改めて好きになった俺の為のようなレコード。
コレは聴きたい、聴かずに終われないと思ったもん。
赤黒で見つけたとき「あった・・・」って声出ちゃったよ。
で、聴いてみたらいいんだ、それも物凄く。
Matthew Sweet - Counting The Days
リズムセクションのカンジとかそれに乗るリードギターのカンジとか。
思わずニンマリしちゃう。
こんなのが11曲も入ってる!
音楽ファン、しかも長く聴いてる人なら誰もが感じたことがあるだろう、好きなバンドの新作はこうあってほしいという気持ちと実際は違ったとき(たとえ、それが良い作品でも)の失望感。
その‟こうあってほしい”という気持ちにパーフェクトに応えてくれてるようなアルバムだよ、コレ。
俺はチープトリックのこういうアルバムが聴きたかった。
もう、チープ本人たちにも作りたくても作れないと思う、たぶん。
じゃあ、何故それがマシューには作れたのか?
チープトリックが大好きでリック&トムとレコーディング出来る!という喜びから生まれた情熱だよ、きっと。
マシューだけじゃなくリック・メンクもね。
「僕はそうでもないけどリック・メンクはチープの大ファン」ってマシューも言ってたし。
近年、コレに近い感触を持ったのはキッスの『モンスター』だな。
アレは本人たちのアルバムだけどトミー・セイヤーとエリック・シンガーというバンドのファンだった2人が半分混じってるから。
特にトミーなんてキッスのトリビュートバンドをやってて、リユニオンの時はエースにエース奏法を指導したヤツだからね(笑)
今回のマシューと同じような情熱が‟そうそう!こういうのが聴きたかったんだよ!”ってアルバムを作らせたんだと思う。
そう考えるとマシューのこのアルバムにリックとトムが参加出来なかったのは残念・・・。いつかきっと。
こういう、言ってしまえば‟ごっこ遊び”みたいなのを良しとしない意見もあるかもしれないよね。
オリジナリティの欠落とかクリエイティビティの放棄とか言って。
でも若いバンドならともかく、マシューぐらいのキャリアのある人がチープぐらいのベテランバンドを、ならいいと思う、俺は。
昔、ミチロウがコマンタレブを結成した時、「ジム・モリソンがパリで死なずにドアーズの次に何をやったか?ってイメージのバンド」って言ってたのを思い出す。全然、違ってたけどね、コマンタレブ。ミチロウそのもので(笑)
他にたとえばワタナベイビーの作る清志郎の曲みたいなのも聴いてみたいもん、俺。
全然ありだと思う。
まあ、そうは言ってもまんまチープトリックでもないけどね、このレコード。
ラズベリーズやビッグスターなんかも感じるし、何よりマシューらしさもある。
こう言うとアレだけど、昨日も取り上げた近作2枚より下手したらいいかもしれない・・・。
あまり考えずにパッと仕上げたのがかえって功を奏したのかも。
しかし、このレコードはホントに聴いてて気持ちいい。
自分の中で辻褄が合ったというか「13歳の俺は間違ってなかった」って思えるから。